【レビュー・感想】天野月子「Sharon Stones」-イメソンの女王
天野月子「Sharon Stones」2002/06/05
- 菩提樹
- Treasure
- B.G.~Black Guitar+Berry Garden~
- HONEY?
- スナイパー
- 青紫
- 刺青
- Butter Fingers
- ロビン
- 箱庭 ~ミニチュアガーデン~(Sharon Mix)
- カメリア
- 箱舟
天野月子さんの1stアルバム。
天野月子さんの歌は好きだけど、実は天野月子さん自身のことはあんまり詳しくないんですよね。
なんか、こういうタイプのアーティストって歌だけ知ってて好きでいたらいいかなぁって。
あんまりアーティスト自身を神様にしすぎちゃうとこっちが不健康になるだけだし、
アーティストの詳細はあんまり知らない方が、その分より深く作品に入り込める気がするから。
だからなんで改名したか知らない。
「天野月子」の四文字の方が、パッと見た時バランスよくて整然としてて綺麗だと思うんだけどなぁ。
「天野月」だと一瞬「天野明」(「家庭教師ヒットマンREBORN!」の作者)に見えて「!?」ってなる時がある。
- 菩提樹
- Treasure
- B.G.~Black Guitar+Berry Garden~
- HONEY?
- スナイパー
- 青紫
- 刺青
- Butter Fingers
- ロビン
- 箱庭 ~ミニチュアガーデン~(Sharon Mix)
- カメリア
- 箱舟
- まとめ感想
菩提樹
天野月子さんメジャー1stシングルで、代表曲。
私の中では、例えばこの曲と全然関係ない本を読んでて「菩提樹」って単語が出てくるだけでも、真っ先にこの曲を連想するくらい定着しています。
歌詞も歌唱も天野月子らしさ爆発。
歌詞は読むたびに「感情がデカすぎる…」と圧倒される。
イントロがシングルとはまた違う…?普通、こういうのは「アルバムver.」とか記載されるはずだけどされてないのは珍しい。
Treasure
お得意の荒々しいボーカル&激しいドラムリズムなんだけど、歌詞がなんか可愛い…!!
生活感があって、なんとなく狭いアパートで同棲してそう。
「タイミング合わなくてもどかしくて、なかなか上手くいかないよね〜」っていうのがさっきの曲と違いすぎてギャップがすごい。
「あなたはうわのそらで」のメロディが爽やかすぎてなんとなく違和感(笑)
B.G.~Black Guitar+Berry Garden~
ガールズロック風でこちらも可愛い系。
可愛いけど歌詞はガッツリ失恋。未練タラタラで可愛い(笑)
泣き虫なとこも あなたが嫌がるとこ
ぜんぶ 直すから 戻ってよ カムバック ダーリン
っていうのも可愛く爽やかにサラリと歌ってるから笑ってしまう。
HONEY?
ダーリンの次はハニーという並び。
歌詞は甘々なのに、サウンドや歌唱法は全然ハニー感ゼロでいつもの天野月子。
あなたはいつも 男でいて欲しいの
わたしはその分イイ女になれるでしょう?
という部分は、今の時代だとちょっと色々言われそう。
スナイパー
タイトルだけ見ると「暗殺者みたいな殺伐とした曲かな?」って思ったけど
メジャー調で「原作少女漫画の実写化主題歌か?」ってくらい明るく可愛いロックポップ。
もしあなたがわたしを狙い 黒い銃を構えているなら
外さないでね 一撃でココを射止めて
これは「私を殺せ」と煽っているのか、「私を恋に落としてみせろ」と煽っているのか…
青紫
このアルバムで一番好き。カッコよすぎる。
荒んでて殺傷能力が高くて、荒れ狂った嵐のような曲。
メロディラインがアニソンっぽくて、特にラスサビの転調はアニソンオタクの私にはバチっとハマりました。
冒頭が音量小さいせいで「あれ?音小さい…」と音量上げると、いきなり大音量バーン!とくるので注意。(私は学習しないのでこれを5回くらいやった)
刺青
私のもとを去っていったあなたは、刺青のように私の生活・身体の一部になっている、という曲。
「空っぽの冷蔵庫も手帳も」が精神状態を物語っていて、心も空っぽになっているような喪失感があります。ちゃんと食ってるか?って心配になる。
Butter Fingers
何このちょっと怖いイントロ…
Butter Fingersはよく物を落とす人・不器用な人という意味らしい。
「あなたの指先で覆ってほしい」「わたしの指先で覆ってあげる」は、肝心なことは指で掴むには滑りやすくてよく落としてしまうから、ちゃんと覆ってほしい・覆ってあげるとうい意味?
ちょっと捻くれ者のようなノリノリサウンドが良い。
ロビン
単純に超カッコいい、激情的なロック。
サビの「ロ↑ビン」の力強くエッジの効いた歌い方は、軽く「殺されそう…」とゾクゾクきます。
何度聴いても歌詞の意味が全然分からない。
歌詞に「田中」って入ってて歌詞二度見した。
なぜ田中…?
箱庭 ~ミニチュアガーデン~(Sharon Mix)
カッコよすぎか…?
天野月子だからこそ生み出せて歌いきれる曲だぜ!と言わんばかりの、月子節炸裂ソング。
最初から最後まで、歌唱も歌詞もメロディも壮絶で圧倒される。
「許して許して 殺して 柔らかく抱いて」とか性癖に刺さる人はものすごい勢いでぶっ刺してきます。
MVのトマトかじって汁ブシャー!!は強烈なインパクト。
カメリア
カメリアとは椿のこと。
比較的大人しめだけど、隠しきれない情熱がサビで爆発してるバラードロック。
聴いたら分かる。「これはイメソンにされがちな曲だ!」って。
歌詞の単語ひとつひとつが天野月子色強すぎて、好きな作家の本を読んでる時と同じ気分。
折れた腕と もがれた脚と
放り出された体に
薬を塗り 愛撫した
歌詞のこのあたりが、「あぁ天野月子だなぁ」って思う。
箱舟
「箱舟」っていうタイトルからは想像できない、生活感あふれるJ-POP。
爽やかで、風が心地いい穏やかな休日のような雰囲気。
一見「あなたにずっとついていくわ!」みたいなよくあるJ-POPだけど
「声をひそめてあなたといる暮らし」ってあるから、もしかして逃避行ソング!?
まとめ感想
私は月子さんのようなカッコいい女性ボーカルの場合、
甘々キュンキュンソングよりも「全員ぶっ殺す!」みたいな刺々しい曲の方が好きなので
荒々しいボーカルの「青紫」が最高に大好きなんですけど
歌詞の「感情のスケールがデカすぎる!」みたいな曲や憂いを帯びた曲も大好物なので(これはどんなボーカルでも好き)
「菩提樹」「箱庭」「カメリア」などはたまりませんでした。
歌詞のモチーフやテーマはよくあるJ-POPっぽいのに、独自の世界観があって非常に面白く、デカすぎる感情を描くのも上手いので、
私にとってのイメソンの女王はこの人です。