ZOC「family name」は現メンバーが歌っても響かない
ZOC「family name」2019/04/30
アイドルグループZOCのデビュー曲。
アイドルプロデュースで大事な一曲目、外したプロデューサーも多い中、見事一発で当てた大森靖子さんはやはり音楽を作る才能が凄まじすぎる。
いきなり心を掴んでくるAメロ
イントロも無しでいきなり強烈な歌詞から始まります。
わけわかんないことでママが怒ってる
安定の不安定に 鍵をしめる
こんなのおかしいね なんで産んだの
手に届くもの全部投げ飛ばした
「親とは親友のようになんでも話せて超仲良し!」っていう子は絶対に共感できない、少しでも親との関係で苦しんだことがある子は一度は思ったことあるであろう感情。
親との関係に悩んでて、家が安心できる場所ではない=居場所がないという女の子の日常をここまで的確に表した歌詞が他にあるか?ってくらいピンポイントでついてくる。
この「わけわかんないことでママが怒ってる」の一行だけで「あ、これ私の曲?」って惹き込まれた人は絶対に多い。
浮遊感があり美しいBメロ
察して
その名前は二度ともう聞かずに生きていきたい
かわいそう抜きでもかわいいし
私をぎゅってしないなんておかしい
↓大森靖子さんは一番美しいメロをBメロに入れることを意識して作っているらしいです。
確かにこの「察して」だけでもずっと聴いてられる!!ってくらい美しい。
「察して」での高音へのジャンプ。
テンションコード?で、浮遊感がありエモさが一気に爆発してる。
これで曲のメリハリをつけてる印象を受けました。
family nameとは、姓・名字のこと。
生まれてきた家族や環境で人の人生は大きく変わる。
よく「親ガチャ」っていうけど、「親ガチャ」という捉え方をしないとやっていけないような子達はずっとその名字に苦しめられてきて、でも“その名前は、今の私にはもういらない”という強い意思表示。
ドカンと心に響いてくるサビ
family name 同じ呪いで
だからって光を諦めないよ
family name 御構い無しだ
治安悪いまま バグらせてこ
クッソ生きてやる
このサビは何度聴いても鳥肌。
ソロボーカルしか心惹かれない自分が、久々に集団ボーカルに魅了された。
生まれた家族や環境に苦しめられ続けた日々。
それでも“光を諦めないよ”と手を伸ばす。
大森靖子名義の曲では「光を諦めないよ」とか、少年漫画がアニメ化した時の主題歌みたいな直球でベタな歌詞は書かないんだけど、これはZOCだからこそだと思う。
そして「クッソ生きてやる」。
この言葉にどれだけ多くの人達が救われ奮い立たせられただろうか。
初期メンバーだからこそ輝いた曲
少年院上がり、元ヤンキー、元ひきこもり…。そんなクセの強い子達が集まった初期メンバー(「family name」に参加したメンバー)はプロデューサーである大森靖子を除くと
そして現メンバーで残っているのは、藍染カレンと西井万理那の2人のみ。(敬称略)
アイドルグループを好きになったことが全然ないから分からないんだけど、ハロプロか?ってくらいメンバーが今と3年前で全然違う。もはや別グループ。
すぐ脱退したり卒業してるんだけど(脱退と卒業の違いわからん)、何かと揉めた上での脱退や卒業。
正直、応援してるファンからしたら複雑な心境になるに決まっている。
ZOCの曲はだいぶ増えたけど、特にこの「family name」は初期メンバーver.じゃないとダメ。
特に「クッソ生きてやる」は、初期メンバーの声でずっと聴いていた人からしたら
他の人が歌う「クッソ生きてやる」は、なんかしっくりこない…って思う人多いと思う。
もともと「クッソ生きてやる」は戦慄かなのちゃんが言ってた言葉なのに、その本人がいなくなって他の人が歌ってるのは、そりゃあ初期メンバーを超えられるわけがない。
私は初期メンバーも現メンバーも好きだけど、やっぱりどう足掻いても越えられない壁がある。
例の騒動について
それに加えて先日のパワハラ騒動。(ってか「僕達のおんがく」のMV消されてる?)
↑ここでも書いたけど、
靖子さんは味方(=自分と同じ価値観を持った人)にはめちゃくちゃ優しいんだけど、ちょっとでも価値観がズレてる人や気に入らない人に対しては敵認定してものすごい勢いで徹底的に攻撃する傾向があって、
今まで味方だった人と価値観で衝突してしまう=突然敵になってしまうと「お前は大森靖子(と同じ価値観を持った味方)なのに、なんで大森靖子の考えが理解できねぇんだよ!!」ってなっちゃう。
怒鳴ったことを反省してるなら反省してることを世間にちゃんとアピールしないと、いつまでたってもパワハラ騒動に関して言われ続けるし、もうZOCが良い意味で有名になることはできない。(悪い意味ではもうすでに有名だけど)
“孤独を孤立させない”音楽で、いまだにルッキズムやエイジズムに苦しんでいる世界中の人々をZOCが救ってほしい!ZOCなら出来る!と思っていたけど、人前に出る仕事をしている限りはもう少し考えてほしいと思うことが多すぎる。(その不器用さこそ彼女や彼女達の魅力のひとつでもあるんだけど、匂わせるだけ匂わせて内輪で済ますことが多すぎ)
だから、曲は好きだけど「ライブに行きたい」という感情がどうしても湧いてこない。
現メンバーの巫まろちゃんや雅雀り子ちゃん、最近新しく入った鎮目のどかちゃんのパフォーマンスを見てみたいとは思うのは思うんだけど
この曲に関してだけは、もし歌われたとしてもうーん…私の好きだった「family name」となんか違う…ってなると思う。