【レビュー・感想】斉藤壮馬「デート」は彼女になれるような曲…ではなかった。
斉藤壮馬「デート」2018/06/20
- デート
- レミニセンス
- C
- デート (Instrumental)
斉藤壮馬さんの3枚目のシングル。
新曲のタイトルが「デート」と知ったときはちょっとガッカリでした。
なぜか勝手にガチ恋勢をさらに増加させそうな曲を想像して(男性声優疎いからこの人にガチ恋勢がいるのかは知らん)
安易によくあるラブソングを歌わないところに惹かれてたところもあったので、
ついに媚びやがったな斉藤壮馬…なんでだよ!(涙)みたいに思ってた。
なぜか勝手にKing & Princeの「シンデレラガール」みたいなキラキラなのを想像してた。(マジで名曲ですよね)
そんなこと思いながらいざ聴いてみると…
あれ…思ってたのと違う…
相手を思いっきりお姫様扱いしてくれるような、甘々なジャニーズ王道みたいな曲を予想してのに、サブカル感満載。
実に、斉藤壮馬らしさ満載でした。
っていうか、作詞作曲を全部 斉藤壮馬さん本人がしてます。
デート
ちょっと変わったコードから始まるシャレオツなシティポップ。
Aメロ→転調して伸び伸びしたBメロという流れが最高。
完全に裏切られた。いい意味で。
イメージは夜の都会。
居酒屋でちょっと酔っ払っちゃって、駄弁りながら海に行ってみたり、しょうもないことで笑い合ったり、みたいな。
彼女になれるような曲を想像してたけど、ちょっと違う。
彼女ととらえてもいいし、友達でもいい。
特にこれといった名前のない関係性でもいい。
なんとも曖昧なところ。
この曲、全体的にノリが大学生だなぁ…と。
声優さん同士の会話って聞いてるとノリが学生っぽいんですよね。
なんなんでしょうね。あの声優さんたちの独特の内輪感。
「苦手だなぁ」と思う時もあれば、「仲良いなぁ」と微笑ましく思う時もあるあの感じ。
いえい!とかてへぺろとか、ちょくちょく面白いの入れてくる茶目っ気。
「あぁ、なんか酔っちゃいそう♡」は笑った。まさかのハートマークかよ。
フラットで、良い意味で力が入っていない、素の状態。
日常の中に潜んでるちょっと心躍る空気。
歌詞で「アセンション」って出てくるけど、なんかラジオで昔よく使ってた単語…じゃなかったっけ。
とにかく遊び心満載。めちゃくちゃ楽しみながら作ったんでしょうな。
あと乾杯!って言ってるの、斉藤さん本人だったということがビックリ。
MVも女性が出てきたけど、これも本人だったという設定。
正直このMV、まったく意味がわからないです。
カオスすぎる。
いろいろ書きたいことありすぎて、「高田馬場駅」の存在感が強いな…ってことをやっと覚えてるというくらい。
是非DVD付きを買って、フルバージョンを見ることをオススメしたい。
そこにはカオスが広がっているから。
斉藤さんの歌詞は割とよく韻踏むけど、
「デート」「ウェイト」はまだわかるとして「冥土」とかドキッとする単語を入れてくるのが斉藤さんらしさ。
歌詞カード眺めてるだけでもワクワクする歌詞を書く人というのはあまりそう簡単には出会わないので嬉しい。
このときを閉じ込めて 永遠に仕立てあげたい
サイコかな?
この明るい曲調でこんなこと言うなんてゾクっとくる。
楽しくてユーモアがあって、でも少々の毒を加えるのも忘れない。
このユーモア+少々の毒こそ、斉藤壮馬楽曲が生み出すナチュラルテイスト。
レミニセンス
レミニセンスとは、記憶した事柄がその直後よりもある程度時間を経過した後の方が明確に思い出されること。引用元:大辞林
まるで雨が降り出したかのようなアコギの音から始まるこの曲は、「デート」とは対照的に、たった1人で夜の街を当てもなくただ歩いている男が脳裏に浮かびます。
雨の雫ひとつひとつが記憶にポトっポトっと落ちていって、感情をじわじわと潤していく絵が見えてくる。
寂しいはずなのになぜか気分は悪くない。
雨の匂いに抱かれて心地よい風に身を任せるような…
自分に酔いたい時に聴きたくなる曲です。
ええ感じに感傷に浸れます。
「あのひとおなじことかな」、「ねこみたいね」、「はれるや」とか全部ひらがななのも良い。
まぁ別に感傷に浸れようとしなくても、シンプルにサビのメロディカッコいいし(特にファルセット部分とか)間奏のギターもちょい切なめで心地よいから割と繰り返し聴いてます。
C
聴く前、タイトルだけ見て「Cってなんやねん」と誰もが思ったことでしょう。
何かの頭文字?と思って最後まで聴いてもわかりません。
(しーっ)という囁き声から始まり、優しくウィスパー気味な歌声と暖かみのあるアコギ。
なんだろう、優しい歌声なのに溢れ出るサイコ感は…
いいよ 急がなくたって
ぼくたけがきみを、
そっと、
やさしく、
くるしめるから
帰っておいで
もう最初のここだけで心を鷲づかみ。
ってかなんか怖い!読点がさらに怖さを増してるよ!!
イヤホンやヘッドフォンじゃないと聴き逃してしまいそうな
すたすたすた…
ゆらゆらゆら… の囁きも怖い。
歌声も歌っているというより、語りかけてる感じ。
私はこういう曲大好きで、いわば性癖ぶっ刺しソングなのです。
ウィスパーボイス最高!
この曲もなんとなく夜のイメージ(この人、夜イメージの曲多いな…)
4分の3拍子で、ネオンサインが眩い夜の宇宙をゆらゆらと揺蕩うような、どんな悩みも苦しみもこの永久に続くような宇宙にじわじわと融けていくような。
私が斉藤壮馬さんに抱いているイメージ、この曲が一番近い。
なぜかはわからんけど、ものすごく斉藤壮馬感が出ている気がします。
まとめ
もともと昔から曲を作ったり詞を書いたりしていらっしゃったこともあり、初めての本人が全作詞作曲シングルはめちゃくちゃ完成度高いものとなっておりました。
ボーナストラックがあるのも良い。和気藹々と、楽しみながら作ってるんだなぁって伝わってきます。
このCDから、大体の曲を本人が作ったり書いたりしてます。
この後に発売したアルバムなんか、新曲をほぼ全部作詞作曲しちゃってるから…すげぇ…
こんだけできちゃうなら、もう最強やんけ!!
声優さんに興味なくても堂々とオススメできる1枚です。